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パイロットになるには何年かかる?小学生~機長までの準備・学力・費用を解説

みらいの学び
公開日:2025年10月30日 更新日:2025年10月30日
パイロットになるには何年かかる?小学生~機長までの準備・学力・費用を解説

かっこいい制服を身につけて、颯爽と飛行機を操縦するパイロットの姿、かっこいいですよね。

「飛行機を操縦してみたい」「世界中を飛び回りたい」と、憧れを抱いているお子さまもいるのではないでしょうか。親としても、子どものパイロットの夢は全力で応援したいもの。

ここでは、どのようなルートを進めばパイロットになれるのか、その流れを分かりやすく解説しています。この記事を読めば、お子さまをサポートする方法も理解できるでしょう。ぜひ参考にしてください。

もくじ

    パイロットになるには10年かかる!小学生〜機長になるまでの流れ

    パイロットになるまでには、少なくとも10年はかかると言われています。
    ここでは、小学生から機長になるまでの流れをまとめました。

    小学生〜高校で準備しておきたいこと

    小学生でパイロットを目指しているお子さまを持つ保護者の方は、「小学生のうちから何ができるのか」と気になりますよね。パイロットになるために、小学生から高校生の間にできることは多くあります。

    パイロットを目指す小学生が高校までに準備しておきたいことは、基礎学力の向上と体力づくり、そして英語力を身につけることです。

    なぜなら、パイロットの訓練や勉強では高い理解力や集中力が求められるうえ、フライト中の体力・英語でのコミュニケーション力も求められるからです。

    小学生のうちは、全教科をしっかり学んで基礎学力をつけることはもちろん、算数や理科を重点的に、考える力や観察力を育てることを意識しましょう。

    中学生では英語力を高めると同時に、天気や地理などの基礎知識を少しずつ身につけておくと役立ちます。

    高校生になったら、数学や物理を中心に、論理的に考える力を磨くことが大切です。

    また、日頃から健康な体を保つことも忘れずに。栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけ、ウォーキングなどで体を動かす習慣をつけておくとよいでしょう。

    お子さまの視力にも注意を払いましょう。

    パイロットを目指すうえで、それぞれの目の裸眼視力が0.7以上、両眼で1.0以上であることが必須とされています。成長期は視力が低下しやすい時期ですが、次のような対策で防げるようです。

    • 1日2時間程度、屋外で過ごす(太陽光を浴びることで視力低下を抑える効果があるといわれています)
    • 勉強や読書、ゲームは正しい姿勢で、明るい場所で行う
    • 本やゲーム機の画面は30cm以上離す
    • スマートフォンやタブレットの使用は1回30〜60分以内にし、30分ごとに目を休ませる


    これらを意識するだけでも、視力低下を防ぐ効果が期待できます。
    特に屋外での活動は、親子で一緒に楽しみながら続けられる習慣なので、休日に公園などで体を動かす時間をつくるのもよいですね。

    さらに、飛行機を身近に感じられるよう、航空イベントに参加したり、飛行機に関する本を読んだりするのもおすすめです。身近なところから空への関心を深めることで、パイロットを目指すモチベーションを維持できるでしょう。

    参照元:コンタクトレンズのアキュビュー®【公式】


    親子で一緒に体力づくりをしてみましょう!
    かけっこが速くなるコツを掴もう!親子で一緒に楽しめる運動も紹介

    大学・養成課程~副操縦士になるまで

    大学や航空養成課程で航空理論や飛行訓練を学び、パイロットを目指します。その過程で「事業用操縦士(CPL)」や「第一種航空身体検査証明書」、無線通信に関する資格を取得しておく必要があります。

    航空会社に入社後は、基礎訓練や機種訓練、路線訓練などの「副操縦士任用訓練」を受けます。特定の機種を操縦するための「型式証明」を取得し、社内審査に合格すると、副操縦士としてフライトできるようになります。

    副操縦士~機長になるまで

    機長になるには、まず7〜10年ほど副操縦士として乗務を重ね、経験を積まなければいけません。多様なトラブルにも対応できる判断力やコミュニケーション力などを身につけながら、安全に運航できる力も身につけていきます。

    そのうえで、より高度な資格である「定期運送用操縦士(ATPL)」を取得します。この資格は、飛行機を安全に運航するために必要な知識や技術を証明する国家資格です。

    資格取得後は、機長になるための「昇格訓練」によって、判断力やリーダーシップなどをさらに磨いていきます。

    そして、「路線訓練」をおよそ3〜4か月かけて行います。路線訓練は、実際の定期便にお客様を乗せて行う訓練。さまざまな気象条件や運航状況に対応できるかを実践的に学びます。

    最後に、国土交通省の「機長認定審査」、ATPLの技能審査、航空会社の「機長昇格審査」、3つの試験すべてに合格すると、正式に機長として独り立ちできます。

    パイロットになるための4つの進学ルート

    パイロットになるためには、おもに4つの進学ルートがあります。お子さまの適性や将来像のほか、予算などさまざまな要素を考慮したうえで、お子さまに合ったルートを選んでください。

    航空大学校コース

    航空大学校に進学し、パイロットを目指すコースです。

    航空大学校とは、国が設立したエアラインパイロットの養成機関。進学するには条件があり、「4年制大学に2年以上在籍し、全修得単位数が62単位以上の人、短大または高等専門学校を卒業した人」と定められています。

    航空大学校でパイロットとしての訓練を行い、在学中に「事業用操縦士(CPL)など数種のライセンスを取得。卒業後、各航空会社に就職する流れです。

    航空会社の自社養成コース

    航空会社の「自社養成パイロット枠」で入社し、パイロットになるコースです。

    「自社養成パイロット」とは、航空会社がパイロットを目指す人を育てる制度。JAL、ANA、スカイマークが実施しています。対象者は、大卒または大学院卒の学生のみ。健康状態に加え、英語力やコミュニケーション力など幅広い能力が求められます。

    養成コースにかかる費用はすべて会社負担なので、経済的な負担が小さい点がメリット。就活生から人気を集めている制度です。

    大学・専門学校の操縦科コース

    パイロット養成課程や航空学科がある大学・専門学校に進学し、「事業用操縦士」「自家用操縦士」などの資格を取得後、航空会社に就職するコースです。

    飛行機を操縦するのに必要な資格はいくつかありますが、学校によって取得できる資格は異なるので、しっかり調べておくことが大切です。

    航空自衛隊から民間パイロットになる方法

    航空自衛隊から民間のパイロットに転向する方法です。

    自衛隊パイロットが民間の航空会社に転職することは可能ですが、簡単ではありません。なぜなら、国費で養成された人材がすぐに民間へ移ることへの懸念から、退職後すぐの採用は制限されているからです。

    現在は「割愛制度」と呼ばれる仕組みを使い、希望者が限られた枠で民間航空会社に移籍する形が一般的です。毎年、自衛隊から数名がこの制度を利用してエアラインへ移っています。

    制度の枠組みに従って、転職は慎重に行う必要があると言えるでしょう。

    パイロットになるための条件と必要な費用目安

    では、パイロットになるための条件を見ていきましょう。親としては気になる、パイロットになるために必要な費用についても解説しています。

    理数系と英語の力を伸ばしておこう

    理数系の科目と英語を重点的に学んでおくとよいでしょう。

    パイロットになるには、気象や地理、飛行機の仕組み、通信の方法や法律など、実に幅広い内容を学ぶ必要があります。その中でも、数学や理科といった理系の科目が大切なので、積極的に取り組んでおきましょう。

    また、パイロットは、世界中の空港や航空会社などとコミュニケーションを取る機会が多く、英語は不可欠なコミュニケーションツールとなります。何かトラブルが起きた際、パイロットは英語で正確に情報を伝えなければいけません。

    英語は必須スキルとなるため、早いうちから学んでおくことをおすすめします。

    英語はアプリでも楽しく学べます。以下の記事で、学習アプリを紹介しているので参考にしてください。
    遊びながら学ぶゲームとは?小学生向け無料アプリ&知育カードゲームおすすめ19選

    身長や視力など、体の条件もチェック

    パイロットになるには、法律で定められた「航空身体検査」に合格する必要があります。

    前述しましたが、視力は、それぞれの目の裸眼視力が0.7以上、両眼で1.0以上であること。パイロットの視力基準では、強すぎる近視や遠視でなければ、メガネやコンタクトで1.0以上に矯正できれば問題ありません。

    身長については、一般的に158cm以上が目安です。航空大学校でも、158cm以上であることが出願資格に含まれています。

    参照元: 航空大学校skyworks

    年齢制限があることも知っておこう

    パイロットになるには、年齢制限があることも覚えておきましょう。

    パイロットを目指すルートによっては、年齢の上限が設けられる場合があります。

    たとえば、航空大学校の「令和8年度航空大学校学生募集要項」では、出願資格に「平成13年4月2日から平成18年4月1日までの生まれ」と記載されています。つまり、「入学年の4月1日時点で25歳未満」という制限があることになります。

    なお、ANAの自社養成パイロットの募集要項には「年齢制限はありません」、JALでは「30歳程度までの方」と記載されています。

    参照元:令和8年度航空大学校学生募集要項(PDF)ANA WINGSJAL

    進路別の費用目安(国立・私立・自社養成)

    進路別に費用目安をまとめました。

    参照元:日本航空大学校法政大学Sky Creation, Inc.


    小学生から伸ばせるパイロットに必要な素質

    パイロットになるために、小学生から伸ばせる能力についてまとめました。ぜひ積極的に伸ばしてあげてください。

    冷静な判断力と責任感

    パイロットは、多くの乗客の命を預かっている仕事。思いもよらぬトラブルや緊急事態にも、的確に対処できる冷静な判断力と責任感が必要です。

    天候が悪化してフライトプランを変更することになった、機内で急病人が出た、といったトラブルにも冷静に対処し、どうすればよいのか適切に判断する能力が求められます。パイロットであることに責任を持ち、安全運航に努めなければいけません。

    安全運航のためには、自己管理能力も欠かせない能力。

    パイロットは、フライト前に副作用がある薬を飲むことは、航空法により禁止されています(※)。もし体調を崩せば、代替要員のパイロットが代わりに操縦することになります。

    一人の体調が全体の運航に影響するため、自分の健康を管理し、常に万全の状態で臨むことも責任の一部といえるでしょう。

    お子さまの責任感を育むには、普段から自分自身の行動や決断に責任を持つよう意識させてみるとよいでしょう。たとえば、「毎日お手伝いをする」「決めたところまで問題を解く」というように、お子さまが自分で決めたことを最後までやり抜くよう、見守ってあげてください。

    判断力も同様、お子さまが自分で決める機会を増やしてあげることが大切。「どっちの服を着たい?」「何して遊びたい?」など、簡単なことから始めてみましょう。小さなことから選択させ、「自分で考えて行動する」機会を多く与えることで、判断力に加え、自己管理能力も少しずつ養われていきます。

    ※参照元:国土交通省(PDF)

    コミュニケーション力と協調性

    運航には、パイロットは2~3人、乗務員も合わせて多くの人が関わっています。通常業務はもちろん、何らかのトラブルが起きた際にも一緒に働いている人と協力して乗客の安全を守る必要があるため、コミュニケーション力や協調性が求められます。

    お子さまの協調性やコミュニケーション力を伸ばすには、友だちとの遊びやスポーツ、課外学習、アウトドア体験などの直接体験がおすすめです。

    周りと関わり合いながら目的を成し遂げる経験を積み重ねていけば、自然と協調性が身についていくでしょう。また、学校で友だちや先生とたくさん話をしたり、家でも家族とのコミュニケーションを大切にしたりすることでも、コミュニケーション力は向上していきます。

    直接体験については、以下の記事でも詳しく解説しています。
    直接体験で生きる力を身につけよう!体験が大切な理由とおすすめの体験を詳しく解説!
    夏休みは小学生の「生きる力」を育むチャンス!

    協調性を育むには、習い事もおすすめです!
    非認知能力をぐんぐん伸ばそう!非認知能力が伸びるおすすめ習い事5選

    あきらめない心と粘り強さ

    パイロットに限ったことではないかもしれませんが、パイロットには、とくにあきらめない心と粘り強さが求められます。

    訓練生として入社した直後からトレーニング、膨大な学科用マニュアルやフライトマニュアルを理解したうえでの資格取得、昇格試験など、さまざまな訓練や試験を受け続けることになります。あきらめず、地道にコツコツと学び続けることが大切です。

    フライトにおいても、日々更新される情報に触れ、知識をアップデートして臨む必要があります。新しい情報にも戸惑うことなく、粘り強く取り組む姿勢が重要と言えるでしょう。

    粘り強さを育むには、小さな成功体験を積み重ねて自信をつけさせること、結果だけでなく、プロセスも褒めてあげることが重要です。小さな自信を繰り返しつけさせることで、いつしか粘り強さも伸びていきますよ。

    家庭でできる育み方は、以下の記事でも詳しく解説しています。
    非認知能力は子どもの将来に役立つ力!家庭でできる育み方もご紹介!

    パイロットになったら広がる活躍できる世界

    パイロットになれば、さまざまなシーンで活躍することができます。ここでは、どのようなキャリアプランがあるのかを紹介します。

    教官として次の世代を育てる仕事

    パイロットは、機長に昇格した後は、教官として次の世代を育てるキャリアプランがあります。培ってきた技術や経験を活かし、航空会社などで教育を担当します。

    教官になれば、定年を迎えてもキャリアを継続でき、より高い待遇を得られる可能性が高くなります。

    運航管理者など、空の安全を支える仕事

    機長を支える運行管理者を目指すキャリアプランも増えています。

    運航管理者は「地上のパイロット」とも呼ばれ、運航全体の安全を地上からサポートする重要な役割。フライトプランの作成や飛行監視を行う責任のある仕事です。

    元パイロットの判断力や状況把握能力などを活かせるため、スムーズにキャリアチェンジできるでしょう。

    官公庁など、民間以外で活躍するキャリア

    自衛隊や海上保安庁、警察、消防の航空部門でパイロットとして活躍するキャリアもあります。

    事故や大きな災害などが起きた際に飛行機を操縦し、人命救助や災害の早期解決にあたります。

    航空自衛隊のパイロットは、航空イベントなどでブルーインパルスを操縦することもあります。ブルーインパルスのフライトは航空技術の広報や展示飛行を目的とするものであり、ブルーインパルスを見てパイロットに憧れるお子さまもいるかもしれませんね。

    操縦のほか、フライトプランや気象情報の確認、機材の状態報告など、官公庁のパイロットの仕事は多岐にわたるため、民間パイロットの経験や資格が十分に役立ちます。

    航空機を使用する会社

    新聞社やテレビ局で、パイロットとして働くキャリアプランも挙げられます。

    おもにヘリコプターや小型ジェット機を操縦し、事件や事故の現場を上空から取材したり、写真や映像を撮影したりします。常に緊張感を持ち続ける必要がありますが、現場の真実を伝えられるやりがいのある仕事です。

    パイロットになるには?親子で読めるおすすめの本

    ここでは、パイロットを目指しているお子さまのために、親子で読める本を紹介します。ぜひお手に取ってみてください。

    パイロットになる夢を広げる『おしごとのおはなし パイロット パイロットのたまご』

    小学生向けの創作童話で、飛行機が大好きな少年と、その兄のお話です。

    航空会社に入社し、厳しい訓練や勉強に取り組みながらパイロットを目指すお兄さん。兄の話を通して、パイロットになるまでのルートがやさしく説明されているため、お子さまでも無理なく理解できる1冊です。
    おしごとのおはなし パイロット パイロットのたまご (シリーズおしごとのおはなし パイロット) 

    パイロットの仕事をわかりやすく学べる『パイロットの一日』

    「パイロットの仕事内容は?」「仕事中は何を考えている?」「パイロットになるための方法は?」「どんな人がパイロットに向いている?」そんなパイロットに関する10代の疑問に答えている本です。

    写真も多く使われているので、視覚的にも楽しみながら学ぶことができます。
    パイロットの一日 (暮らしを支える仕事見る知るシリーズ)

    パイロットについて深く知れる『JAL機長たちが教えるパイロット雑学』

    パイロットを目指したきっかけや訓練生時代の思い出、仕事への想い、オフの日の過ごし方まで、JALグループ機長たちのエッセイをまとめた1冊。航空機コレクションや空港マップなども掲載されており、パイロットを身近に感じられる内容に仕上げています。
    JAL機長たちが教えるパイロット雑学 キャプテンの仕事にかける想い

    パイロットを目指すルートはさまざま。将来像を見据えてコースを選ぼう

    パイロットになるまでには、10年はかかると言われています。

    パイロットを目指すには、航空大学校や自社養成などいくつかのコースがあります。どのルートがよいのか悩むかもしれませんが、学びを進める過程で、お子さまの適性やどのような企業に進みたいかなどを明確にし、予算も含めてコースを決めることをおすすめします。

    また、パイロットには、コミュニケーション力や判断力などさまざまな能力が必要です。
    小学生から育める能力もありますので、できることから始めていき、少しずつ伸ばしていくとよいでしょう。

    パイロットへの道は険しいですが、ぜひ前向きにサポートしてあげてください。

    お子さまのやる気を伸ばす方法は、以下の記事も参考にしてください。
    知っておきたい! 子どものやる気をグングン伸ばす「言葉がけ」とは!

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